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サヨナラインフィールドフライ事件

達川光男コンタクトレンズ紛失シーン

颯爽とバント処理をした直後だった。「審判、ちょっとタイムや」。広島・達川光男捕手が両手を上にして、お手上げのポーズをとった。

小林毅二球審がプレーを止めると、達川はいきなり両膝をグラウンドについて、じっと顔を近づけて土の上をなめるように見回した。何事かと、広島ベンチから数人のコーチ、選手が飛んできた。達川は顔を上げずに言った。「コンタクトや、左目のが落ちたんや」。

ナゴヤ球場の中日―広島22回戦の7回、中日は無死一塁で9番郭源治投手に送りバントを命じた。ホームベース付近に転がったボールを達川が捕り一塁へ送球したがダッシュした際に、達川の左目からハードコンタクトレンズが落ちた。遠近感がつかめず、見える右目だけで正確に送球したのはさすがだったが、片目だけではこの先のプレーは無理だった。

“捜索活動”が始まった。達川につられるように、カープのチームメートが輪になって小さなレンズのために、目を皿のようにしてホームベース付近を見回した。いつの間にか審判団の4人も“捜索”に参加していた。

一塁側の中日ベンチは、思わず爆笑せずにはいられなかった。「コラッ、タツ!まじめにやらんか、まじめに!」星野仙一監督の口調は厳しかったが、顔は笑いを堪えるのに精いっぱい。「達川さーん、もうあきらめてくださいよ」と、ドラゴンズナインが冗談交じりに声をかけるや否や、達川は急に立ち上がり三塁側ベンチに駆け込んだ。

捜索開始から4分。達川が再度ベンチから勢いよく飛び出してきた。「小林さん、もうええわ。新しいの入れてきた」と達川。ロッカーに戻り予備のレンズを着けて、川口和久投手のボールを再度受けた。

“死球パフォーマンス”をはじめ、珍プレーが代名詞の達川をしてこれまた“名作”が1つ加わった形となったが、当の背番号40は真顔で言った。「1万5000円ですよ。まだ3カ月しか使っていないのに。シーズン中はこれでもつと思っていたのに…」。

少しへこんだベテランだったが、コンタクト紛失がけがの功名となった。直後の8回に先頭打者で打席に立った達川は右前打を放ち、好機を演出。この回は無得点に終わったが、これが9回の攻撃につながった。

広島は9回、3番西田真二右翼手の右越え本塁打で1―1の均衡を破ると、さらに1死満塁となり、打席は達川。前の打席で郭から安打を放っており、タイミングが合っていた。2度目の対戦も右前打。今度はタイムリーとなり、リードを2点に広げた。

「今までのコンタクトは度が合ってなかったんじゃないか、なあタツ」と山本浩二監督も大笑い。達川は「コンタクト代はヒット2本を打ったので、年末の契約更改で請求します」と答えた。

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達川光男珍プレー集